オートガイネフィリア：それは何であり、なぜ物議を醸すのか？
自分探しは複雑な旅路です。一生かけて自分を探し続けても、結局何も見つからない人もいます。
自分のアイデンティティにラベルを付けることは、この過程を手助けする一つの方法です。
特にジェンダーやセクシュアリティの分野では、私たちの存在や嗜好を表現するための新しい言葉が次々と生まれ、進化し続けています。
時として、こうした呼び名や分類は議論の的になることがあります。そのような言葉を使うだけで、他人から反発を受けることもあるのです。自己女性化愛（オートガイネフィリア）は、学術界でも一般社会でも大きな論争を引き起こしてきた概念の一つです。しかし、クロスドレッサーやフェムボーイ、女性コスプレイヤー、トランスジェンダー女性にとって、この特定の概念は注目し、議論する価値があるでしょう。
オートガイネフィリアとは何か？
自己女性化愛（オートガイネフィリア）という言葉は、1980年代後半にカナダの研究者が生み出しました。ブランチャード博士は、自分が女性になることを想像したり、そのイメージに性的な興奮を覚える男性たちがいるのではないかと考えたのです。これは自己女性化愛という概念をかなり単純化して説明していますが、その核心は捉えていると言えるでしょう。
私がこの言葉に出会ったとき、すぐに強い関心を抱きました。私自身、女装を楽しむ者として、女性になることに興奮を覚えます。でも、そんな自分の興味を表す専門用語があるなんて思ってもみませんでした。さらに調べていくと、トランスジェンダーの人々の中にはこの言葉に不快感を示す人がいることや、多くの研究者がこれを診断可能な状態とは考えていないことがわかりました。当然ながら、この話題には様々な側面があり、慎重に考える必要があります。
なぜ物議を醸すのか？
自己女性化愛について深く調べていくうちに、この言葉に対する人々の反応がなぜこんなに分かれるのか、少しずつ分かってきました。元の理論では、トランスジェンダーの人を二つのタイプに分けようとしていたようです。一つは、心の性別に体を合わせたいと強く感じるタイプ。もう一つは、性的な欲求から体を変えたいと思うタイプです。
前にも触れましたが、どんな呼び名でも議論を呼ぶ可能性があります。使う人も聞く人も、様々な感情を抱くものです。例えば、強い性別違和感から性別移行を決意したトランス女性が、性的趣向で体を変える人と同じ分類にされたら、不快に感じるでしょう。何年もかけて治療や手術を重ね、やっと自分らしい体を手に入れた人にとっては、そんな分け方をされたら、自分の苦労が軽く見られているように感じるかもしれません。
別の見方をすると、ブランチャー博士は自己女性化愛を「パラフィリア」、つまり社会に害を及ぼす異常な性的傾向の一種だと考えていたんです。自分の性的な好みや欲求が、人間社会で最も恥ずべきとされる行動と同じ扱いを受けると言われたら、誰だって腹が立つでしょうね。
どちらの立場にも、複雑な意味が込められています。正直、私にはどちらの考えや反応も完全には分かりません。でも、一つだけ確かなのは、人はどんなふうに呼ばれようと、尊重され、丁寧に扱われるべきだということです。
自己女性化愛って、性別なの？セクシュアリティ？それとも性的嗜好？
私の単純な理解では、性別は自分が誰であるかを表し、セクシュアリティは誰を好きになるかを指します。一方、性的嗜好はただ性的に興奮するものを意味します。では、自己女性化愛はこのどれに当てはまるのでしょうか。
ネットで調べてみると、この問題についての激しい議論が見つかります。でも、自己女性化愛を精神障害とする意見や、トランスアイデンティティの一種とする意見は、あまり多くありません。
正直、自己女性化愛が何を指すのか、私には判断できません。医療や心理の専門家でもないですし。ただ、「自己女性化愛的」という形容詞を使えば、名詞よりも柔らかい印象になるかもしれません。
「これって自分のことみたい。どうしたらいいんだろう？」
心配はいりません。あなたは特別変わった人ではありませんよ。自分についてこういうことに気づいたら、まずはそれを素直に受け止めてみましょう。無理に押し隠さないことが大切です。同じような気持ちを持つ人は意外と多いものです。
自分の気持ちが表れてくるタイミングに注目してみてください。女性的な気持ちが湧いてくる時を意識的に覚えておくと、それが本当の自分の性別に関係しているのか、それとも好みの問題なのかを理解する手がかりになるかもしれません。何かしら傾向に気づいたら、後で振り返られるように日記にでも書いておくといいでしょう。
自分の性別や性的指向に疑問を感じるのは珍しいことではありません。こんな時、まず覚えておきたいのは、これが特別なことではないということです。多くの人が同じような疑問を持ちます。
自己理解を深めるには、自分の感情を観察することが役立ちます。例えば、女性的な気持ちが湧く時や状況を意識的に記録してみましょう。これにより、性自認と性的指向の違いが見えてくるかもしれません。
実際に試してみることも効果的です。日常生活で、性的な興奮を伴わない状況で異性として過ごす時間を作ってみるのも一案です。自分の快適さを確認することで、より深い理解につながる可能性があります。
また、単に異性の経験に興味があるだけかもしれません。これも自然な好奇心の一つとして捉えることができます。
大切なのは、焦らず自分のペースで探求することです。必要に応じて専門家に相談するのもよいでしょう。自己理解の過程は人それぞれ異なり、時間がかかることもあります。じっくりと自分と向き合い、自分らしさを見つけていくことが重要です。
自己女性化性愛（オートガイネフィリア）は、LGBTQ+のコミュニティでは非常に議論を呼ぶ用語です。その意味や実態について明確な合意はなく、学術界やトランスジェンダーコミュニティの中でこの用語に言及すると、強い反応を引き起こすことがあります。
誰でも自分のアイデンティティに最もフィットすると感じるラベルを自由に選ぶことができます。ただし、この特定のラベルは問題を引き起こす可能性があることを認識しておく必要があります。また、多くのラベルと同様に、あなたの感情や本質を完全に表現できないかもしれません。自己女性化性愛をめぐる議論に触れることは、性別やセクシュアリティに関する問題についてより深く学ぶ良い機会となるでしょう。
あなたの自己発見の旅が実りあるものになりますように。応援しています。
